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その1の偉大な脳みそ

その1、とうとう進級して2年生になったわけである。
あんなに心配していた遅刻もせず、一年通い通した。
愛用の黄色い帽子も校帽に変わる。

わたし「帽子を買いに行かなくっちゃならないんだよ」
その1「うん、行こう、行こう」
わたし「その1の頭、大きいから本人行かないとサイズわからないからね」

その1、生まれる時も頭がつっかえて出てこなかった子である。
赤ちゃん時代もすでに幼児用の帽子じゃないと入らなかった人である。
それが小学生になったんだから、いったい何サイズの帽子をかぶるのだ・・・

近くの古くからある帽子店へ二人して行く。
初めて入ったぞ、ここの帽子店。
いっぱい帽子がある。おもしろいぞ、ワクワク。

わたし「小学校の校帽を買いにきたのですけれど・・・」
店の人「僕の、かな?どれどれ、このくらいのサイズかな?頭、貸して」
店の人「あれ、入らないぞ。こっちかな?」
店の人「顔の割に頭が大きいんだね、あれまあ」
店の人「じゃ、これ、6年生用だけど・・・」
店の人「う・・・ん、いいけど、これでも後ろがピチピチだね・・・」

そういうと、振り返ってカウンターの奥に入って行った。

店の人「これ、一番大きいのだけど、これより大きいのないけど、どうかな?」
店の人「ダイジョブだ!これにしときなよ!」

って、6年生用より大きいのって訳ですかい?
2年生で6年生より大きいのですかい?
そんじゃ、この先どうなるんだい?

店の人「お母さん、大丈夫です、家だって帽子店長くやってるけど、
     このサイズより大きくなった小学生は今までいませんから」

そう店の人に言われて不安な気持ちで納得するが、
2年生で大人のサイズにまで成長しているその1の頭を見つつ、
立派な容器と、その中味のギャップにこれまた不安な気持ちになるのであった。
特大LLサイズを買って店をでる。

その1「大きい事は良いことだ」
わたし「うん、そうだね」
その1「オレってすごいよね~」
わたし「すごいすごい」
その1「へへっ、オレってすごいんだ~」

その1の、2年生用脳みそは大きな頭蓋骨の奥底に、
「楽天的」「お気楽」っていう名前の衝緩材に幾重にも包まれて
大切に大切にちんまりと収まっているのだと思った。
by genkiyohou-shi | 2010-04-08 06:31